亜熱帯の夜

蒸気に満ちた空気が
呼吸するように何度も
カーテンを押し広げるたび

窓から覗く肉厚な植物が
夜風に重たく揺れる様を
まるで自分が瞬きしたように
1度ずつ切り取って見せる


頭から水を浴びるとなおさら
何もかもが同じ温度になっているのがわかる

原型を失ったチョコレートは
口の中に入れる前から
私と同じ温度に違いない



そういえば
昼間に齧ったもぎたてのトマトは
口元で熱く炸裂したのだった


過剰なエネルギーが
あちこちにはみ出ている
行き場の無い熱気が
夜になってもひしめく

今夜も
冷凍庫の前で
アイスクリームを選んで
まずは頭に載せる