珈琲豆の魔神

……な状況にいても
さてと
と
いつもの珈琲を淹れ

今日は週末、野球を観ながらビールが飲める
と
歯並びの悪い口でげらげら笑い

今日も暑くなりそうだ
と
毎度同じ挨拶を
いったい誰にだか投げかけてるし


珈琲豆の魔神が現れると
台所がさらに暑苦しく感じる
こうして昼前からすでに
湿度の高い一日はスタートしている
まったくもう


けれど
へこたれるほどでもない
と感じる
なぜか

訛りの強い言葉には
何百年という経験が裏打ちされているらしい


必ず100パーセントなんてない
いつでも０なら、そりゃ自分のせいだ
できることをできるときにやる
結果はすべてが済んで見えるもの
つまり途中でことの善し悪しは分からない
真っ当な人間なら、まずは今日を懸命に生き延びることだ
何もな…て……め……

粉々に砕かれながら
香のメッセージをいつまでも残して
珈琲豆の魔神は
出てきた時と逆回しで姿を消した


さあまずは
苦く濃い珈琲を飲もう
今日もまだまだこれからだ