こどもの頃のおうちのカーテン

押入れの奥深く
懐かしいカーテンを見つけました



夜中に目が醒めると
オレンジ色の小さな光の中で
布地から離れて浮かんでいた
立体的な模様

ゆらゆら揺れる天体や
傾いでゆく建物や
次々と走り抜ける粒子を
追いかけているうちにまた
眠りの中へ溶けていった
不思議な感覚


実はこんな風に
グラデーションに織られていて
光の具合で揺れて見えてたんでしょう

子供の頃の謎は
何年も経って種明かしされましたが
それでも
夜中に目覚めてしまった
ちょっと不安な気持ちと
どきどきするような秘密の光景は
ずっと心にあるのです


今でもこうして
このカーテンの下に寝転んで
薄眼を開けて眺めていると
物語が動き出すよう

ゆらゆら揺れるラングドシャ
傾いでゆくカステラ
次々と走り抜けるチョコボール
手当たり次第に手を伸ばして
………